「だから…春也先輩に彼女がいるっていうのも知ってるよ。同じクラスの、美人な人。でも、その人の事は…あんたの方がよく知ってるかも?」



「私の方が?」



春也先輩の彼女なんて、知るわけがない。


大体、彼女がいるって事も知らなかったんだし。



「ねぇ、芹奈?私が、どうしてその春也先輩の事覚えてたか分かる……?」



実咲ちゃんの言い方は何かを含んでいるようで。


それを知りたいと思いつつ、知っちゃいけないような気がしてきた。



嫌な予感がして、鼓動が激しくなる。



「その彼女に、見覚えがあったからなんだよ?」



私の予感が…外れればいいと思った。


こんな展開、レンアイ初心者の私には難しすぎる。



だけど……。


思い当たる節も、無くはない。



野球部の応援の数が日によって違うのだと、彼女は教えてくれた。


でも、それって…いつも見てないと分からない事なんだよね?



彼女は、いつも気にしてたんだ。


野球部の応援の数を。



そして…春也先輩の事を。