「え……?」



一瞬、聞き間違えたのかと思った。



だって、そんな事あるはずないじゃん。


春也先輩に彼女がいるだなんて……。



「信じたくない気持ちは分かるけど、私見たんだよ。その人が…彼女らしき人と、校舎の陰でキスしてたの」



実咲ちゃんの言葉に、私の胸がチクンと痛んだ。


キスを…私じゃない誰かとしてたって事?



「そんなっ、だって……」



春也先輩は、可愛いって言って…キスしてくれたんだよ?


なのに、彼女がちゃんと別にいるっていうの?



「実咲がね、昨日私のトコに確かめに来たの。春也先輩に彼女がいるのかどうか?って。野球部の応援してる子なら、みんな知ってるからさ。誰に彼女がいるのかって。もちろん、神崎先輩に彼女がいるのも知ってるよ?」



また、驚いてしまった。



神崎先輩に彼女がいるって、祐梨ちゃんは知ってたんだ。


知ってて、あぁやって応援してたんだ。



祐梨ちゃんも、みんなも……。