「えっ?」



あまりにも予期せぬ事に、私の思考回路はついていけてなくて。


ただただ、先輩の腕の中でうろたえていた。



涙もいつの間にか止まっていて。



「男の前で…そんな無防備に泣くなよ」



耳元で聞こえる春也先輩の声が低く大人っぽく聞こえて、更に鼓動を速めていき。


先輩が小さく息をする度に私の耳元を掠めて、体がゾクッとする。



先輩の髪の匂いや、微かに感じる汗の匂いが何だか男を感じさせて。


お互いに重なった胸から、先輩の少し早い鼓動が伝わってきた。



私…春也先輩に抱きしめられてるんだ。