空と、絵の具と、白球と。

「と、友達が…その人の事好きなんです」



つい、そう打ち明けてしまった。


もしかしたら、何か情報が得られるかもって思ってしまったんだ。



「そっか。その子って、大翔に彼女いるって知ってる?」



「え……?」



先輩は少し困ったような顔をしていた。



神崎先輩に彼女がいるって事、祐梨ちゃんからは聞いたことがない。


知ってる…のかなぁ?


でも、怖くて確認できない。



「3年つき合ってる、大学生の彼女がいるから。応援に来てる子達も、どれぐらいが知ってるか分かんないけどさ」



好きな人に彼女がいる祐梨ちゃんは、確かに可哀想だと思う。


だけど、今の私は彼女の友達失格かもしれない。



だって、『春也先輩に彼女がいるのかどうか?』って事ばかり気になって仕方ないんだ。


今なら、訊けない流れじゃない。


でも…勇気が出なくて。



自分の事だと、さっきみたいに訊けないんだ。