空と、絵の具と、白球と。

「ホ、ホントですか?」



「うん。この雲の感じとか、打ち終わったフォームとかさ。すっごい上手いじゃん」



それは、世界中の誰に褒められるよりも嬉しくて。


つい、言いたくなってしまうんだ。



その後ろ姿は、あなたなんですって……。



「野球、好きなの?」



「あ、す、好きです」



「誰か野球部に好きな奴いるの?」



「えっ!?」



すごいコトを訊かれて、思わず言葉に詰まってしまった。


まさかのまさか、春也先輩に好きな人を訊かれるなんて……。



「いや、これって誰かモデルがいるのかなぁって思ってさ。もしかして、大翔とか?」



「大翔……?」



聞いた事がある気がしたけど、いまいち思い出せない。



「あぁ、神崎大翔。知らないかな?うちのモテモテ君」



「あっ」



フルネームを聞いて、やっと思い出せた。


祐梨ちゃんが大好きな神崎先輩だ。