「誰を描くとかって決めてるの?」
「えっ?あっ、と、特には……」
咄嗟に、祐梨ちゃんにそう嘘を吐いてしまった。
別に、彼女に言いたくなかったわけじゃない。
ただ、すぐそばにいる春也先輩のファンの人の事を思うと。
胸を張って大きな声で言うのが躊躇われて。
だって、皆はずっと前からこうやってるわけで。
夏休みだって、暑くたって。
ここに集まって先輩達を応援している。
そんな人達のそばで、ついさっき春也先輩に恋したばかりの私が胸を張って言えるわけがない。
「そっか。私はね、昼休憩になったんで神崎先輩見に来たの」
そう言ってフェンスの方に体を向けて、祐梨ちゃんは笑顔を浮かべながらグランドを覗いた。
「いつも…見てるの?」
炎天下の厳しい練習をこなしてきた上で、こうやって休憩時間を削ってまでも見たいなんて。
「もちろん見てるよ。だって、好きだもん」
そうやって、思い切り笑顔で言いきっちゃう祐梨ちゃんが何だかカッコ良くて。
私も…いつか言えるんだろうか?
春也先輩が好きだから絵を描きたいんだ、って。
みんなの前で、大きく胸を張って……。
「えっ?あっ、と、特には……」
咄嗟に、祐梨ちゃんにそう嘘を吐いてしまった。
別に、彼女に言いたくなかったわけじゃない。
ただ、すぐそばにいる春也先輩のファンの人の事を思うと。
胸を張って大きな声で言うのが躊躇われて。
だって、皆はずっと前からこうやってるわけで。
夏休みだって、暑くたって。
ここに集まって先輩達を応援している。
そんな人達のそばで、ついさっき春也先輩に恋したばかりの私が胸を張って言えるわけがない。
「そっか。私はね、昼休憩になったんで神崎先輩見に来たの」
そう言ってフェンスの方に体を向けて、祐梨ちゃんは笑顔を浮かべながらグランドを覗いた。
「いつも…見てるの?」
炎天下の厳しい練習をこなしてきた上で、こうやって休憩時間を削ってまでも見たいなんて。
「もちろん見てるよ。だって、好きだもん」
そうやって、思い切り笑顔で言いきっちゃう祐梨ちゃんが何だかカッコ良くて。
私も…いつか言えるんだろうか?
春也先輩が好きだから絵を描きたいんだ、って。
みんなの前で、大きく胸を張って……。

