一緒に帰ろうか?という部長の誘いを申し訳ないけど断り、私はちょっと寄り道をする事にした。



寄り道といっても、それは校内の話。


さっき美術室の窓から覗いていた、あのグランドに…私は来ている。



「神崎くーん!」



「大翔先輩、頑張ってー!」



グランドに着いたら、何か試合っぽい事をしてるみたいで。


選手たちも観客も、すごく盛り上がっていた。



春也先輩は…どこなんだろう?


同じユニフォームに包まれた人達が60人位いるから、なかなか見つからなくて。


1人ずつ確認していくしかないかもしれない。



とりあえず、たくさん並んでいる観客達の一番端に並んでみた。


皆の声援を背に受けているのは、たぶんバッターの神崎先輩。


祐梨ちゃんの想い人の顔を一目見ようとフェンスぎりぎりに立ち、懸命に目を凝らしてみた。



……かなりの面食いだね、祐梨ちゃんって。



チラッと見えた神崎先輩は、そりゃあもう大人っぽいクールな顔立ちのイケメンで。


ユニフォームがよく似合っている気がする。