「大林先生の所に、野球部の監督から謝罪の言葉があったそうよ。ホント、気を付けてもらわないと困るわよね」



呆れた口調でそう言うと、部長は割れた窓を見上げていた。




あの窓を割って飛びこんで来た、1つのボール。


そして、それを追って来た春也先輩(と、もう一人)。



その春也先輩も、私と一緒で『夏の空』が好きだと言っていた。



窓の向こうを見れば、私と春也先輩の大好きなスカイブルーの空があって、白い雲がある。


そして…今まで気に留めなかった風景に、私は自然と目を奪われるようになっていた。



「うちの野球部、結構強いのよ」



私の視線の先を辿ったのか、部長はそう言ってゆっくりと窓に近付いた。



「そうなんですか」



「その分、女の子のファンも多いんだけどね」



部長は、野球部の練習するグランドの奥を指差した。


私も窓に近付き、部長の示すその方向を目を凝らして見てみた。



「すごい……」



想像以上の光景に、思わず息を飲んだ。



校舎と反対側のグランドの端。


明らかに、フェンス越しに野球部を見学(観察?)している女子生徒の集団がある。



その数、ざっと2~30人ぐらい。