そんな事を考えながら部活をやっていても、私の鉛筆がいいデッサンを描くわけもなくて。


気が付いたら…下絵を描いていないのは私だけになってしまっていた。



「何を描くかは、決まったの?」



お昼になって、今日の部活はここで終了。


みんなが帰り支度を始める中、私はスケッチブックを広げたまま固まっていて。


心配になった部長が、わざわざ声をかけに来てくれた。



「すいません、まだ…決まってなくて」



「せっかくコンクールに出す絵なんだから、自分が納得いくモノを描いてみて。まだ時間はあるから、大丈夫よ」



そう言って、部長は優しく私の頭を撫でてくれた。


校内でも美人で有名な、3年の石川部長。


うちの4人の男子部員も彼女目当てで入ったらしいって、実咲ちゃんが言ってたっけ。



「そういえば、川澄さんがいた時にガラス割れたって聞いたけど大丈夫だった?」



「あっ、はい。大丈夫でした」



ガラスの話になったら、自然と春也先輩の事を思い出していた。


そして、何故だか速くなる鼓動と赤くなる頬。


既に条件反射になってしまっているみたい。