「それは…恋じゃない?」



あれからしばらくして、美術室に部員が続々と姿を現し始めた。


その前に春也先輩は戻って行ったんだけど、私は何だかずっと落ち着かなくて。



実咲ちゃんの姿を見つけると、すぐにここでの出来事を彼女に全部話した。


そして、返ってきた言葉が…さっきのだ。



「恋……?」



どちらかと言えば、男子の苦手な私。


それが、恋したって言うの……?



「オクテの芹奈も、いよいよ初恋を迎えたってわけね」



大人っぽい実咲ちゃんは、お兄さんのお友達だかっていう高校生の彼氏がいて。


私なんか比べ物にならないぐらいの、恋愛通。


その彼女が『恋』だっていうのなら、そうなのかもしれない。



「私…どうすればいいのかな?」



仮に恋だったとして、私はそれをどうしていいのか全く分からない。



「芹奈、『どうすればいいのか?』じゃなくて、『どうしたいか?』だよ?あんたは、その先輩とどうしたいの?」