暗くなってきたし、そろそろ帰ろうかな…。


もの思いにふけり、
少し気分が澄んで、すっと立ち上がったときだった。



目の前が霞んでぼやけた。




「…や…ッ!?」



視界がぼやけると言うことは、
私の眼鏡がはずれたということ。

分厚いレンズの眼鏡をはずされた私は、
0.1さえないから、びっくりするくらい視界が悪い。


落とした眼鏡を探すために、
もういちど腰を落としてしゃがみこんだ。




「可愛くねェ眼鏡。」



「え…?」



木の枝にでも引っかかって
落としてしまったと思っていた眼鏡を
プラプラと私の目の前に出してもっている人間がいた。



「だ、れです…か?」


顔がボヤけてよく見えない。

失礼なのは分かっているが、眼鏡が無いんだから仕方が無い。


「だーれだ?」



「…はい?」


何、この人。
聞いたこともない声。
でも、今の言葉は、確実に笑いながら言った。
むかつく!私をからかってるこの人!