こんな、読書ばかりの人生を送ってきた
私の名前は、田口帝(タグチ ミカド)。

小さいころ、ミカドと言う名前で、
男の子に間違えられることが多々あった。

「ミカドくん」なんて出欠取るときに呼ばれたりなんかしょっちゅうだった。

でも、ほとんど気にしていなかったし、
私は、この名前は大好き。

この地味な外見と、まったく逆な、
華やかなイメージがある気がして。

自分で言うのもなんなんだけど。

自分を自分で想像するときには、
現実から離れて、もっとも帝らしい、
外見で想像する。


純白で、手を通せば
透き通ってしまうんじゃないかと思うほどの
透明感あふれるワンピースを身に着けた少女。


なびく髪は胸まで流れていて
黒一色で染め上げられた絹のよう。

大きな瞳は、
藍色が滴になって潤うように沈んでいる。



これが、想像の中の私。

いつか、私も、帝に近づけたらいいな…

と思っているが、
勇気がなく、想像上の華やかな帝には一切近づけない。



いつも着る服は、
大体黒系か、淡く地味で無難な色。


前髪も作らず、常に三つ編みのおさげ頭。

小さな目を隠すようにかけた
ふちなしの大きなめがね。




まったく逆。
全然近づこうともしていない姿。



努力もしていない。