said yui

「屋上にいかないか?」

文化祭も終わりを迎え、太陽が朱に染まろうとする頃、宏介が突然、そうきり出した。

教室から出る際、視線を感じ振り替えると、舞子が私をじっと見ていた。

口パクで『ガンバレ』と告げる。

アワワワワ。

目が笑ってない。

姉さん怖いです。

その事が頭をループしていて、気付くと、私は屋上にいた。

目の前には宏介の顔。

急に顔が熱くなる。

宏介を見ると、つられて赤くなっていた。

そして、唐突に言われた言葉。
「好きだ。」

嬉しかった。

嘘じゃないよね。

冗談なんかじゃないよね?

期待してもいいよね?

「私も好き。大好き。」

さっきまで、言えなかった言葉たちが、私の口から飛び出す。
何て言おう…って考えてたのが嘘みたいに、自然に出た。

宏介は、あの日と同じように真っ白な歯を、眩しい笑顔を私に向けてくれた。

「すげぇ嬉しい。」
















ねぇ宏介。

この頃は幸せだったね。

長くは続かなかったけど、

とても短い時間だったけど、

あなたといた日々を、なかったことになんてしたくないよ。

永遠を夢見た瞬間を、悲しい空想になんてしたくない。

あなたは、今何思うの?