霞が聞き返す。 しかし山田はそれに答えることはなく、両手を広げて大声を出した。 「時の女神とは無慈悲で残酷じゃ。この世に二人とて居ない善人を見捨てるなんて。 哀れじゃ。哀れじゃのう!」 水を打ったように静まるその場。 やがて羽兎が困ったように紘哉のスーツを引っ張った。 「ねぇ、紘哉さん。山田さんどうしちゃったの?」 「あー……」 紘哉は気まずそうに羽兎から目をそらした。