「誰も何も無いッスよ。知らないんスか?僕の事」 男は軽い声で言う。 「あいにくだが知らん」 紘哉が答えると、羽兎が彼の脇腹を肘で突っついた。 そしてコソコソと話し掛ける。 「知らないハズが無いでしょうが! 『探偵界の貴公子』くらい聞いたことがあるでしょ?」 「それくらいだったら。実際は見たことねぇけどな」 「その本人!目の前にいる人!」 「シャラオか……」 「その名前で呼ばないで欲しいッス」 紘哉が呟くと、男は整った顔を歪めた。