彼女は渋った。 もちろん、そんなことする度胸はない。 困惑する羽兎を見た定侍は軽く笑った。 「冗談だよ。こっちからもらうから」 そう言って彼は羽兎の右頬にキスをすると、彼女の頭を軽く撫でて部屋を出ていった。 「な、何だったんだろ……」 唖然と定侍の出ていったドアを見つめる。 全く状況が把握できない。 「……まぁ、いっか」 羽兎はそのまま机に伏せて寝てしまった。