私が好きになった男は私が嫌いなヤンキーでした。


「お前、暴走族はどこもそんな事してるって思ってんのか?」


「ああ」

本当は違う。
そんな事してなくっても、本当はしてるんじゃないかって疑っちゃうだけ。
でもたぶん、同じ意味だろうって言われるから。



「それは、お前がもってるただの偏見だろう。ここのチームの奴らは、そんな事しねー。そこのチームしか見てねーのにんなこと言うな」

「レディースで見てきたよ、そんなチーム。腐るほど見て、潰してきた。だいたい、男のアンタに何がわかる!アンタのチームがそいじゃなくたって、今までそんなチーム見てきて、実の妹がレープされたら、何処のチームも同じに見えてくんのよ!そのチームを疑うのよ」


「んじゃー、この俺のチーム信じてみろよ」

「はあ!?」
話聞いてたのかコイツ!

「俺はそんな事聞いてハイそうですかとはならない。そんな事してねーのに、そう思われるのは族の総長として心外だ」

…だからと言ってあたしも、ハイそうですか、わかりましたとはならない。


「茜、信じてみたら?あたしにもここの族がそんな事してるとも思えないし、アンタだってウチの族引っ張ってた総長なんだから、千里君の気持ちわかるでしょう」


「…わかった」

「ふん。でも、俺にこんなに言ってきた女お前が初めてだ」

「あ?」

「こんなにチームを女に侮辱されたのは初めてだってこと」

「…悪かったね!」



「全くだね」

チッ


「ところでお前らどこの族にいたんだ?」

「あたしら?」

「ああ」
「確かに!気になる!!」


「あたしらは、『龍神連合』の『舞蝶』」

「で、これが元10代目」

別にそんな細かいとこまでいいだろうが。


「茜と由梨亜は普通に喧嘩してたの?」
ナルが聞いてきた。


「「…まあ」」

「えっ、どの位強かったの?」

いきなりテンション上がった??

「あたしはそこそこだけど、茜は半端ない!」

「どの位半端ない?」

何か2人してテンション高…。



「お前ら、すげー族にいたんだな」

「えっ?」

「『舞蝶』って言ったら、レディースの全国トップだろ」

ああ、そういうこと。
でもあたしたちのときはまだ…

「まだ全国トップじゃなかったの。あたしと茜が入ったとき」

「「へぇ~」」

マジ似てるわ、賢矢と優吾。


「全国トップにしたのは、茜だよ!」

「「ウソー!!」」

「嘘じゃないよ。ね、茜」