私が好きになった男は私が嫌いなヤンキーでした。






無数のバイク、バイク、バイク。

何人いるかわからないイカツイ人、人、人。


そして何人いるかわからない人の後ろの壁に貼ってある旗。


そこには

『紅龍』

の文字



…そして、その上には、



『天舞連合』

の文字。





そう、あたしたちが来た所は……


世に言う


『暴走族』

の溜まり場。



「茜?だ、大丈夫?」

「いや、帰る」


「やっぱり…」


「えっ、何で?」


そして、その溜まり場の中にいる人間たちは、あたしがもっとも嫌いな人種…


『ヤンキー』

だった。



「おい」

そこで、入学式が終わってから初めて、千里があたしの前で口を開いた。


「何?」

「今まで普通にしてたのに、いきなり帰るってなんだ?」


「帰りたくなったから、帰んの」

「だから、その理由を聞いてんの」



「「あ、茜?」」

ナルと、由梨亜があたしを呼んだ。
意味は違うけど。
ナルは、千里たちと同じ意見。

だけど、由梨亜は違う。
この場にいる中でゆういつあたしが『帰る』と言った理由を知ってる。




千里たちが暴走族に入ってるなんてわからなかった。
ただの不良だと思ってた。




「茜ちゃん?」



「茜、言っちゃいなよ。あたしもいるし」

…そうだね、言わないと家返してくれなさそうだし。



「あたし…」
そしてあたしは話し始めた。