姫は気がつくと闇の中に立っていた。
『ここ、どこ?』
え~っと、確か…そう!私の中の声が眠ってって言ったから、寝たんだ!!
『ねぇ!声さん!』
声?う~んなんかあの声知ってるんだよね…どっかで聞いたことがあるような・・・・
『謎の声さん!!どこ?』
〈あなたね…謎の声さんってもう少し可愛い名前つけてよ〉
急にとても綺麗な女の人が出てきた。髪は金色、目は翠、白い肌にスラっと伸びた四肢。
『あっ、はい。ごめんなさい。ってその声は…あなたはがさっき私に話しかけてきた人?』
何で私文句言われてるんだろ…
〈そうだけどって、!だ・か・ら!あなたが変な名前を私につけるからよ。〉
あ~そっか!。
『って、私の考え読まないでください!』
〈あら、読んでないわ。あなたが考えたことは私が考えたも同じなのだから。共有よ〉
『共有?それって、さっきのと…』
あの人の考え=私の考え
『どういう意味ですか?』
〈そのままじゃない。もっと簡単に言うと私=あなたってわけ〉
全然簡単じゃない・・・
『え~っとつまり、あなたは私の前世みたいなのですか?』
〈前世って・・・・まぁ、そんな感じね。〉
『私の前世こんなにきれいな人だったんだ…』
〈綺麗って…どこが?〉
この人自覚してないんだ…
『ところで、あなたの名前は?』
〈真名(まな)を言った方がいい?それとも…〉
『あの…真名ってなんですか?』
〈あなた、真名も知らないの?!〉
『普通は名前は一つですけど…私の場合は朱莉 姫(あかり いん)だし…』
〈はぁ〉
え…溜息つかれた…?
『私何か変なこと言いました?』
〈あなた、ホントに私なの?!真名も知らないなんて!〉
『あのですから、真名ってなんですか?』
〈真面目に聞いてるのよね?〉
姫はこくんと頷いた。
〈はぁ。〉
また溜息つかれた!!
〈あのね、真名って言うのは、まことの名と書くの。昔から多分今も人間の中にも一握りだけ、呪(しゅ)を使える人がいるはずよ〉
『呪?…』
〈呪って言うのはまじないともいうわ。真名は使い方ひとつでその人を殺すことも生き永らえさせることも、服従させることもできるの。〉
