しかし、実際にローマ行きの搭乗ゲートに着いてみると、たくさんの人で混雑していた。それもそのはず、北京発ローマ行きの飛行機が２０分ほど遅れていたのだった。僕たちは、急いで搭乗ゲートに向かったのだが、搭乗ゲート前で待つこととなったのだ。ほっとした僕たちは、近くにあった水飲み場で水を飲みながら、気ままに待っていた。
いよいよ搭乗手続きが開始となり、まわりにいた人がどんどん手続きを済ませようと搭乗ゲートに押し寄せていく。しかしながら、列という列はなくぐちゃぐちゃで並んでいても割り込む人も多くみられ、どうやって並んでいいのかがまったく分からなかった。僕たちは、スーパーの特売セールのおばちゃんのような自分勝手な意思で進もうとする人たちに負けないように前の人に必死についていき、搭乗ゲートへようやくたどり着くことができた。その後、搭乗ゲートから飛行機までは、バスでの移動だった。
ローマ行きの飛行機は、２０分遅れで北京を出発した。
離陸となった時、僕の横の妻の顔は想像通りこわばっていた。僕の腕をまたも必死に掴んでいた。
日本を出発した時と同じだ。その点、僕は、ローマに行けることが嬉しく、心からわくわくしていた。こんなことを妻に言ったら怒られそうだ。