2011ヨーロッパハネムーン

そんな妻を気遣いつつ、僕は、いいホテルを探そうと頑張った、3軒ほどきいたところで、意外なことをホテルのスタッフから言われた。空室はないと答えた60代ぐらいの男性フロントスタッフは、僕たちが宿がなくて困っている素振りが伝わったのか、そのホテルを出ようとすると、僕たちを引きとめ、「僕の友達の家なら泊めてあげられる」と言った。しかし、今日着いたばかりのローマ・・・初めて来た知らない場所、知らない人、僕たちはこわかった。とてもありがたい気持ちだったが、お断りをしてホテル探しを続けた。そして、5軒目ぐらいのホテルを訪ねた時だった。そこには空室があった!ホテルの中はきれいで、フロントの50代ぐらいの男性もきさくで安心することができた。妻のこわばっていた表情も安堵の表情になった。それを見た僕も、ホッと胸をなでおろした。バスタブ付きを探していた僕たちは、宿泊料金を支払う前に2階にある部屋へ案内してくれた。実際にバスタブがついていることを見せてくれたのだ。しかし、一泊の料金を何度きいてみても教えてはくれないのである。そのまま、男性スタッフと一緒に1階のフロントに戻った。男性スタッフが料金を言わずに領収書を書き始めたので、不安に思った僕は「いくらですか?」と尋ねると、やっと一泊の料金を教えてくれた。料金に納得した僕たちは、パスポートを渡し、ここに泊まることにした。部屋へ入り、部屋の鍵を閉めようとしたが、閉め方がどうにもわからなかった。何度も鍵をガチャガチャとやってはみたが、結局僕たちではできないと判断し、先ほどのフロントの男性にきいてみることにした。彼は、丁寧に教えてくれた。鍵を閉め落ち着いたところで、お腹の空いていた僕たちは、駅で買った食べ物の袋を開けた。甘い香りがし、アップルパイとチョコレートタルトをかじる僕たちはどちらも本当においしくて、二つともあっという間になくなってしまった。
僕たちの部屋から見える向かいには、レストランがあった。そこはまだ賑わいを見せていた。長時間のフライトとホテル探しで疲れていた僕たちは、そんな陽気な声をBGMに眠りについた。