2011ヨーロッパハネムーン

こちらの要望を伝えると、良いホテルを紹介してくれたのだが、やはり紹介手数料が高くて断念した。空港内にあるホテル紹介デスクで話すよりも、先ほど買った国際電話のカードを使って、日本で調べたローマのホテルの電話番号に連絡したほうが、ばか高い手数料は取られないと思い電話をしてみた。しかし、どこも予約がいっぱいだった。そんな僕のやり取りや行動を妻は、不安そうな顔で眺めていた。電話したホテルが満室だったことを伝えると、さらに不安そうな顔になり、僕は申し訳ない気持ちになった。「大丈夫だよ」と伝えることしかできなかった。僕の中には、まだ大丈夫という自信は間違いなくあった。ホテル探しを空港で行うことをやめて、僕はローマ市内の中心地にあるテルミニ駅に行って直接ホテルへ出向いたほうが良いと判断し、列車に乗ってテルミニ駅を目指すことにした。テルミニ駅行きの列車があるプラットホーム近くの売店で乗車券を買った。売店には笑顔がすてきな優しい男性がおり、ホテル紹介デスクの横柄な態度の男性スタッフの怖さが半減した。売店のすぐ近くにテルミニ駅行きの列車が停車していたので、急いで乗車した。乗ってみると、僕たちのようにスーツケースを持った人が何人か乗っていた。僕たちは、席をみつけ座ったのだが、すぐに不安におそわれた。その理由は、ヨーロッパの鉄道では、乗車する前に持っている切符の使用を有効にする手続きが必要なのである。そのことを思い出した僕は、近くに座っていたカップルに「切符の手続きをしないといけないですか?」ときいてみた。するとカップルの男性が「手続きがいりますね、列車を降りて外にある機械でできますよ」と丁寧に教えてくれたので、慌てて列車を降り、機械に向かった。いつ発車してしまうか分からないので、焦ったが、機械を使って、切符の使用を有効にした。列車は、僕たちをきちんと待っていてくれた。