「ごちそうさま……」


一人呟いて、バスルームへと向かった。










お風呂から上がり、制服に着替え、軽くメイクをして家を出た。


玄関の鍵をしめ、顔を上げると。




あッ、あッ、あッ……!



嬉し過ぎて声が出ない。



恋し過ぎて涙が出てくる。



そんな人が歩いてた。




「き、叶チャン!!」


あたしはその人の元へ駆けて行く。


「珍しいな」

久しぶりに見た叶チャンの姿。

眠たそうにあたしを見る。


「あ、あの、今日は午前中は準備だけだから」


嬉しくて、気持ちが舞い上がっちゃって、上手く喋れない。


「あぁ、俺は寝坊」


そして叶チャンはあくびをした。



でもその時、あたしはある事を思い出した。



『幼なじみと付き合うわけがないって言ってた』


真希サンの言葉。



あれはきっと、ホントだった。



あたしは、諦めなきゃなのかな……


何と無く、それも仕方のない事のように思えてきた。




――て、あれ?

あたし、諦めようとしてる?



こんな事は初めてだった。


誠の顔が浮かぶ。