どーして、こんなに悲しそうな顔をして笑うんだろう、この親子は。


何を、抱えているの?



ねぇ、涙で、もう二人の表情が分からないよ。




「母さん、ずっと叶一に会いたがっていたから……会いに行ってやって欲しい。いつでもイイから」



おじさんはそう言って、席を立つ。


それと同時に叶チャンはまた、震えている拳でテーブルを殴った。



食卓にそんな音が響いても、おじさんはそのまま、部屋へと消えていった。






「叶……チャン」



声にならないあたしの声は

泣いてばかりいるあたしの存在は


今、何の為にあるの?



ただ気が付いたら、叶チャンを抱きしめていた。



鳴咽を漏らしながら叶チャンの名前を呼び、でもしっかりと、震える叶チャンの体を抱きしめた。


それが叶チャンにとって何の慰めになるのかなんて分からないけど、あたしはそうする事しか出来なかった。



「叶チャッ…叶チャンンッ…うぅッ、うぅぅッ…叶チャンッ……」


そうやって泣いているのは何故かあたしだけで、

叶チャンは震えながらも、笑っていた。





あの寂しそうな顔で





笑っていたんだ……