ずるいよ。



自分だって辛い時、あたしには言わないのに。



自己解決させちゃうのに。



あたしは、握られた手に力を入れた。


「あのね、誠はいつも、あたしに弱音吐かないでしょ……でもあたし知ってるんだ」



「……何?」


あたしが真剣な顔で誠の顔を見上げると、少し間をあけて、誠はあたしに顔を向けた。


「誠は我慢してる時、いつもそーゆう顔して笑う。言いたい事があるのに我慢してる時、いつもそんな顔してるよ」



知ってるんだから。


あたしに心配かけないように、自分の中だけで解決させようとしてる事。


でも、それって寂しいよ。
一緒に悩みたいよ。


今の誠の悩みが、あたしが原因なら、分かるよね?


だったら、尚更言って欲しい。


優しい言葉だけじゃなくて、辛い気持ちも、寂しい気持ちも、悲しい気持ちも、ちゃんと知りたい。



付き合うって、そーゆう事なんじゃないのかな。


あたしばっかり、おんぶしていたくない。







「……何で、俺に相談してくれなかったの?」



誠は足を止めて、あたしと向かい合った。