学校に着いて、まず一番にやりたい事があった。

誠にお礼を言う事。

いつもふざけた奴で、絶対悩みなんてないような能天気なアイツに、昨日は本当に助けられた。

叶チャンに迷惑かけるなってメールはやっぱり気になるけど……

今はありがとうの気持ちが溢れていた。



廊下側の一番後ろの席で、誠は椅子に座って片脚を椅子に立てながら男子と談笑中。


今日は珍しく遅刻してないみたいね。


誠が遅刻しない事は、本当に珍しかった。

廊下側の一番後ろの席は、誠の特等席。

毎日遅刻してくる誠は、授業中に教室に入ってきても邪魔にならないように、席替えがあっても誠の席だけは変わらない。


何をそんなに楽しい事話してるのか、大声で笑う誠の声は、教室中で一番響いていた。


てか朝からテンション高いわね。

そのテンションを分けて欲しいわ。

と半ば呆れつつ

「おはよう。誠ってば行儀悪いよー」

その中に挨拶をしながら入っていく。

「おはようのん。てか今日俺遅刻しなかった!褒めて褒めて♪」

あたしに気付き、遅刻しなかった事がそんなに嬉しいのか、満面の笑みでこちらを向く。


――ドキッ