「真希って性格の悪い女知ってる?」


――真希サン。


あたしはこの名前で思い付く人は一人しかいない。


叶チャンの元カノで、あたしのドレスを破いた……。


「……知ってる」


小さく呟くと、ピロリンは続けた。

「嫌がらせメールとかきた事ある?」


――嫌がらせメール。

去年、叶チャンに迷惑掛けるなってメールがきた事があった。


「それが何?」

「あのメール送ってたの、真希だったんだ」


何と無く気付いてた。

きっと叶チャンの携帯でも盗み見て、あたしのメアドを自分の携帯に登録したんだろう。


「それがイイ事?メールならいきなりこなくなったけど」

「違う違う。メールこなくなった理由がイイ事」

「どーゆう事?」


あたしが訝し気な顔をしてピロリンを見ると、ピロリンは優しく笑った。


「俺、真希と中学一緒でさ。よくつるんでたんだよ。高校に入ってからも色々相談とかされてて」

「……うん」


意外な接点だった。

でも真希サンとピロリンが繋がって、なんだかピロリンが少し怖くなった。


もしかしたら真希サンに頼まれて、何かしてくるかも。


そんな事を思った。