街に出ると、どこもかしこもクリスマス一色に彩られている。

いつもはあまりパッとしない、この少し寂れた田舎の街も、クリスマスシーズンだけは違う顔を見せる。




あたしの指先が冷たくなってきた時、優しく繋がれた手が、そのまま誠のジャケットのポケットに差し込まれた。


顔を赤くして誠を見ると、誠の顔も赤くなっていた。


この普段は寂れた街とは違い、誠のさりげない優しさは、いっときのモノなんかじゃない事が、切ないくらいに胸をときめかせた。





「すごぉ…綺麗……」


街の大通りの真ん中に、大きなクリスマスツリーが輝いていた。


「一緒に見たかったんだ」
誠はツリーを見上げながら呟いた。


毎年輝きを放つこのクリスマスツリーを、こんなに間近で見る事は無かった。

この駅前の大通りはよく通るし、このクリスマスツリーを見る事も何回もあった。

でも、いつも通り過ぎるだけで、まじまじと見た事なんて無かった。



……不思議だ。


こうやって、大好きな人と手を繋いで見るクリスマスツリーは、毎年一人で通り過ぎていた物とは全く違う物に見えた。