影から現れたのは、希祈と同じクラスの川本蓮(カワモト レン)だった。

本を抱え込んだまま座り込んでいる希祈を見て、怪訝そうな表情を見せる。


蓮は、よく言えばクール、悪く言えば無口で地味。

しかし、飛び抜けたルックスの良さから、学校のアイドルのような、みんなの王子様のような、そんな存在だ。

希祈はそんな彼を不思議な人、と思い、また蓮は希祈をいつもハイテンションなやつ、と思っていた。


誰もいないと思っていた図書室に、急に現れた蓮を、目をぱちくりさせながら見つめる希祈。

希祈は無意識に見つめてしまっていたことにハッと気づき我にかえると、そこには心配そうに希祈を見つめる蓮がいた。