…どういう気の変わりようだろうか。


あれほど抜けなかった本がいとも簡単にスッと抜けたのだ。


体育会系でスポーツマン、自慢の反射神経の持ち主の希祈だって、この不意討ちには驚いた。

希祈に向かってまっすぐ落ちてくる本を、なんとかキャッチすると、案の定、バランスが崩れた。

本を持ったまま床に吹っ飛ばされる。

希祈はまっ逆さまに床に落ちた。


「……!!」


ひどく鈍い音がして、希祈は床に叩きつけられた。

頭を打ったわけではないものの、ある程度の高さから落下したせいか、意識がもうろうとして、しばらく放心状態が続く。


「怖…かったー…」