「ね!……倉橋…好きな人できたんでしょ!」
希祈は得意気に倉橋のポケットに指をさして叫んだ。
倉橋は、一体なにが起きているのかよくわからず、一瞬、ぽかんと口を開けたまま固まった。
「で、その子の写真が、その生徒手帳に…挟まってるとか!!」
希祈は、まるで探偵が犯人を突き止めたかのように、にやっと笑った。
いつも意地の悪い倉橋に、ぎゃふんと言わせたい希祈は、ここぞとばかりに肘で倉橋をつつく。
「ね!言わないから教えてよー!!」
なかなか口を開かない倉橋を、希祈は調子に乗って、それとも彼女?とちゃかす。
一方、当の倉橋は、ぽかん固まったままで、希祈の話なんてほとんど耳に入っていなかった。

