徹夜の証拠であろう目の下のクマをさすりながら、寝ぼけた目でそれを見た倉橋は、一瞬"ぎょっ"という表情をした。
「あ…!……あった!!!俺ずっと探してたんだよ~!サンキュ!西山、神!」
倉橋はまるで早口言葉のようにペラペラと喋った。
それから、希祈の手からひょいと手帳を取ると、ものすごいスピードでポケットにしまった。
…明らかに怪しい……。
長年の付き合いで、倉橋が何かを誤魔化そうとしているときの癖は、希祈はもうお見通しなのだ。
倉橋は何かを誤魔化そうとするとき、いつ、どこででも脚を組む。
もちろん今も、立っているのに脚を組んでいた。
器用だなぁ…。
希祈は心の中で笑いが止まらなかった。
癖を知っていることがバレないように、今にも飛び出そうな笑いを必死に抑え込む。

