恋イチゴ



「あ?希祈??」

朝は弱い、と自分から言うだけあって、不機嫌そうな顔で歩いてきた。
いつもとだいぶちがう、少しむくんだ顔に、希祈は思わずぷっと吹き出した。

倉橋の頭は寝癖なのか、はたまた希祈には理解できない、倉橋流ファッションなのか。

希祈がそれを指さして笑うと、倉橋は希祈のほっぺたをつまんだ。


「痛い痛いーっ」

朝から校門でぎゃあぎゃあ大声をあげる。


なにをやっても笑い飛ばしてくれる相手。
倉橋と希祈はお互いが信頼しあっている、よきパートナー同士なのだ。


恋愛感情なんてこれっぽっちも抱いたことがない。
倉橋は、私の理解者!

希祈は、同じ質問を何度も繰り返す同級生に、何度も同じ答えを返していた。