そう考えると顔が真っ赤になった。
…なに考えてるの私!
考えちゃだめだ。
これはただの人助けで…
…って、これじゃあまるで無理やり自分に言い聞かせてるみたい…。
希祈は、一体自分は何を考えているのかよくわからなくなった。
きっと、いつも無口でクールな川本が、今日に限ってこんなに優しいからだ!そう思っておこう!と、自分の中のよくわからない考えを、半ば無理やり丸め込んだ。
そんな希祈とは裏腹に、冷静な蓮は、そのまま希祈を保健室まで運んだ。
希祈を軽々と持ち上げた蓮は、無言のままスタスタと歩きだした。
放課後の学校はがらんとしていて、静まり返っていた。
誰もいない廊下に…蓮の足音だけが響く。
蓮の規則正しい心臓の音が、背中から伝わる。
図書室から進学科の保健室までは、さほど離れているわけではなく、希祈はホッと胸を撫で下ろした。
蓮に重い思いをさせてしまわないでよかった…それに…
さっきからバクバクとうるさい希祈の心臓の音が、蓮に聞こえてしまうのではないか…と、内心ヒヤヒヤしていたのだ。

