蓮は沈んだ顔をして俯いている希祈の真正面にしゃがんだ。
希祈の顔を覗きこむようにして、深く息を吐く。
こんなに弱るまで、よく耐えてたな。
椅子から落下して、全身に思いっきり衝撃を受け、おまけに脚を痛め、希祈の中で今まで無意識に我慢していた何かがぷつん、と切れたのだろう。
自分が今までしてしまった失敗や、嫌なことが今一気に頭の中を駆け巡っているのだろうか、心ここにあらず状態だ。
「西山さんは、笑っている方がいいよ。」
素直に口から出た言葉だった。
弱い部分があってもいい、甘えてもいい、けれど、希祈にはずっと笑っていてもらいたい、というのが蓮の思いだった。

