希祈の前にしゃがんでつぶやいた蓮の声が、ふいに希祈の胸の奥のほうをくすぐった。
優しくてどこかすごく安心するような、心地よい低音。
平然を保とうとする希祈だが、吸い込まれてしまいそうなぐらい大きな瞳に釘付けになる。
加速する鼓動の音が、聞こえしまうのではないか…
そう考えると顔から火が出るように、希祈の頬が赤く染まった。
そして喉のおくがキューッと締め付けられるように苦しくなった。
希祈は初めて感じたこの感覚に動揺して、息をすることだけで精一杯だった。
なんか…苦しい…。
喉の奥にたまったツバを、ゴクリと飲み込む。
希祈は突如感じた苦しさに疑問を抱きながらも、とりあえず立とうと思い、床に手をついて力を入れた。
…その瞬間、希祈はズキンッと自分の脚に電気が走るような痛みを感じた。

