「…立てるの?」 希祈は自分の単純すぎる考えから、やっと目を覚ました。 見上げると、目の前で蓮が心配そうな顔をして希祈をのぞきこんでいた。 不意打ち。 その、あまりにも整った顔だちに、思わず心臓が跳ね上がる。 電気ショックを受けたような衝撃が、希祈の身体に走る。 男の子に優しくされた経験が全くない希祈は、蓮の優しさに、慣れない変な感情を抱いた。 ぐるぐると駆け巡る血液がドクンドクン音を立てる。