「…じゃあ、ついでに
これも運んどいて!」


二冊の厚い国語辞典が
両腕に積み上げられた小説の上に
さらに乗せられる。


思わずあたしはよろけてしまった。



「前、見えないんですけど…?」

「大丈夫大丈夫!
教材室、場所わかるよね?」

「わかりますけど…」

「じゃ、後はよろしく!」



そう言って先生は急いだ様子で
どこかへ走っていった。


誰もいない、
使われなくなった図書室で
一人残されたあたし。


はあ、とため息をついて
両腕に積んだ本を持ち直してから
あたしも部屋を出た。