僕は緊張していた。
特に何もあるわけではないが、僕は緊張していた。
今、目の前では僕達と同じ新入生の一人が先輩方に挨拶をしていた、特に心にもないことを、スラスラと言ってのけるのだから、凄いとしか言えないだろう。そのスピーチをしているのは、結崎 京也(ユウザキ キョウヤ)僕の小学生時代からの友達。つまり簡単に言えば僕の近所に住んでいる幼なじみだ。彼を簡単に説明すると、天才だ。彼には天才という言葉しか似合わない。なぜなら、彼、いや。京也は、凄すぎるからだ。勿論良い意味でだ。
 彼と初めて会ったのは小学生の入学式だった。彼はいきなり僕の所に来た。一目でわかったのかもしれない。僕達は似た者同士だと言うことに。