悟はゆっくり私に近付いてくる。


「だから、何よ?」


強気な口調で言いながらも、私の心臓はドキドキとすごい早さで動く。


悟はそっと私の腕を掴んだかと思うと


その瞬間、グイッと引っ張る。


そして私の身体は悟の腕にそっと包まれる。


「こうやって二人っきりになれるからいいじゃん」


悟は耳元でそう囁く。


悟に耳元で囁かれ、私の心臓はますます早くなる。


「受験生だから仕方ないけどさ。部活引退しても、菜月の生徒会の仕事が終わっても、菜月、塾があるから、あんまり一緒にいれないだろ?
わかっているんだけど、俺、ずっと菜月にこうやって触れたかったんだ」


そう言って、私の身体を少し離し、右手でそっと私の頬を撫でる。


「ねぇ、キスしていい?」


抱きしめられているから、悟との距離は近い。


そんな近い距離で真剣な表情で見つめられ


そして、“キスしていい?”なんて言われたら……