相沢は予約を入れていたのか、 女将は離れが空きましたので、変えてありますと言った。 「結構人気の宿らしいよ」 風呂は仲居の案内で客が其其ゆっくりと入れる配慮をしていた。 櫻子は初めての体験であった。 旅の宿はバス・トイレ付きのホテルであった。 浴衣を着て宿の廊下を歩くのに、 少々抵抗を感じながら、人生が変る予感に震えた。 すでに相沢も風呂を済ませて、宿帳に記帳していた。 覗くと妻櫻子と書いているところであった。 顔を上げて、嬉しそうに笑った。