この村も過疎で
自分の家の田植えが済めば
順繰りに二人一組で手伝いに行き
賃金も出す事になっていると説明した。
「あと何年こんな暮らしが出来るか」
昌子の叔母のキクは確か六十歳ぐらいだが
皺が深く、手は普通の女性の倍あった。
二人は、何か見落とした感じを持ちながら、昌子の実家を出た。
「裏の家は、最近使われていたようだが」
「もし昌子が帰ってきたら
あのおばあさん達が気付かないなんて考えられませんね」
「そうだな、いまも何か遠近の家から視線をかんじるな」
二百メートル以上離れて家が点々とある。
周りは青田であった。
