桜ちる


残暑はこの村も同じであったが
簾を掛けて開け放ち、広い座敷が奥に重なっていて、
裏のプレハブの小屋まで五軒余りを見渡せた。

其の当たりは、一面に紫苑菊が咲いていた。

汗が引くと涼しい。

よく冷えた麦茶を出され、いつもコーラの小森も美味しいと思った。
鼓刑事は、家をひと回りしてきた。

「誰か裏の家に住んでいるのですか」

「忙しい時の手伝いの男衆に泊まってもらってます。
 母屋と言うわけにいかんので」