桜ちる


其のとおりであった。
老齢の二人の女性が来た。
二人は小森と鼓に質問をして
昌子が生きている可能性が出てきたというと
まあ出てきても関係ないようなもんで言った。
彼女達はこの地に暮す人間のみを大事に考えているようだ。

トラックが走ってくる。

「何かあったか」

若い男が声を掛けてきた。
隣の息子の由人と昌子の叔母が言った。

「昌子が生きているらしい」

「そら良かった」

小森はトラックに近寄り、
昌子の話を聞くつもりであったが、
向こうは、エンジンを掛けて走り去った。