桜ちる


サンドイッチに珈琲を頼み
改めて信二が相沢を連れて来た訳を説明した。

「実は昌子の兄さんになる」

「昌子は確か一人っ子でなかったのですか」

「私が十五歳の時に昌子は五歳でした。
両親が事故で無くなり、昌子は母方の里に引き取られ、
姓も変わりました。
私は、父方の叔父の世話になりましたのでそのままでした」

その後
時々連絡しあって
大学を出ると東京で就職することになっていたのに
何故か神戸に残ると言って来ましたと言いながら写真を出した。
櫻子たちが写っている写真であった。
それは、初めて六人で奈良の唐招提寺に行ったときのであった。
あの事件の一年前であった。