「確か櫻子の家も近くだったよな」 住所を尋ねると 一昨年、後を附けた仲立の家の当たりであろう。 三軒の中の一つが、木本の別荘かもしれない。 「うちはもう少し上にあるわ」 「実は君のお母さんが事情聴取に呼ばれてた。もう帰ったが」 櫻子は答えられなかった。 「気がついていたのか」 涙が出ているが、拭く気にならなかった。