五階の櫻子の部屋は居間が広い。
多分小森の部屋の倍あるだろう。
小森は一度も櫻子の部屋に来たことが無い。
今晩の事を知ったら
どんなに傷つくか想像できない。
「ここが最上階だね。眺めが良いね」
「小森君は来たこと無いね」
「ええ。誰も呼んだことはないわ」
「私も呼ばれたわけではない。押しかけだから」
櫻子を見ていると、百済観音を思いだした。
そっと櫻子の頬を撫で、髪を梳いた。
冷たい髪であった。
「それじゃあ、電話するよ。ストレッチとサウナに行こう」
櫻子は頷いていた。
これからは、相沢の電話を待って暮らすのだろうか。
それとも他に何かしたい事があったと自分に問うた。
