桜ちる


賑やかな花見の時に観るだけで、
こんな寂しいのは初めてであった。
胸が痛んだ。
毎年男二人でこの桜を観に来ていたのだ。
櫻子は幸せであったと思った。
相沢の内ポケットには、
麻奈があえて開けない手紙と写真がいつも入っていた。
写真は見えた。
櫻子は美しい人であった。
儚い感じは、写真にも現れていた。

「来月に内輪で式を挙げよう」
相沢は桜の木下で麻奈の手を取りそう言った。