桜ちる


「生きている実感が欲しい。キスして」

驚きを隠せない麻奈の手を引き寄せキスをした。
麻奈は震えていた。

「君が叫んだんだ。死なないでって。聞こえたよ。責任取れよな」

何を言えば良いのか解らないが、何とか笑った。

「櫻子に連れて行かないでとも言っていたな」
「聞こえていたのね。送って貰ってその時の事故だから、
 責任を感じていたのよ」

「あの世に行きそうになって、君に呼び戻されたかな。
 麻奈の仕事に支障をきたさなければ良いが、大丈夫か」

相沢は自然に名前で呼んだのに気がついているのだろうか
と麻奈は思った。