桜ちる


「送っていくよ」

青葉の中を二人は黙って歩いた。
ゆっくりと、石井に合わせているが、
少し距離を置き、一人で歩いているようであった。
しかし、さり気無い気使いがあった。

六年前と本当に違っていた。
櫻子の血肉は彼の体に心に大きく影響していたのだ。

駅に着くと相沢は石井の手を取り握手した。

「暖かい手ね」
相沢は少し笑ったようだった。